『農が文化を創る』
(静岡新聞窓辺平成18年2月14日掲載)
浜名湖アグリフォーラムに講師として招かれました。会場を埋め尽くす大勢の参加者。そうここ浜松は巨大農業都市でもあるのです。分科会で菊の専門家袴田伯領さんの生産現場を見学。アレンジメント体験とあわせてバス一台のお客様をガイドいたしました。
農業に対して、どんなイメージをお持ちですか?農業を英訳すると[agriculture]とでてきます。「アグリ」という言葉の語源は「畑」です。カルチャーって「文化」じゃないの?と単純な頭をふとした思いが過ぎりました。調べると[culture]には「耕す・栽培する」という意味があるそうです。
われわれ現代人は、農業の本質忘れかけています。野菜はスーパーで買うもの、カットされていればその原型すらわからない。まして季節感など知る由もありません。ITや遺伝子技術の隆盛の時代になって初めて、農業をもっと見つめ直すことに気が付いたのです。
スローフード・スローライフ。農業の現場でも生活空間でも様々な取り組みがされています。まず認識すべきは、農業が、すべての産業・文化を培養する人間の生活の源になっていることなのかもしれません。文字もなかった時代でも、人はそのことを認識していたのでしょう。
アグリフォーラムでは、それぞれのアグリドリームランドを目指すという提言がなされました。農業経営・マーケティング・環境・技術革新・ブランド化。さまざまな視点から農業に真摯に取り組んできた猛者の力は、遠州のからっ風にも負けず、しっかりと大地に根付いています大量生産から効率化経営への時代の変革の中で、ひと手間かけた農業の視点が注目され、他の業界でも求められているのです。 観光業として地産池消や食育、食文化の伝承を担うことができるかもしれません。フラワーツーリズムや農のネットワークを通じて、ヒトと人とを繋いでいくこともできます。価値ある体験の創造を実践していくことが農と観光が目指すべき方向のひとつです。
すばらしい農業士さんとの出会いが、また明日をワクワクさせてくれます。
関連記事